連休明けにフォークリフトが動かない場合、原因の一つとして考えられるのがバッテリー上がりです。
ただし、エンジン式の始動用バッテリーと、電動式の駆動用バッテリーでは対処がまったく違います。エンジン式は条件が合えばジャンプスタートできる車両がありますが、電動式の駆動用バッテリーには行いません。
この記事では、車両タイプの見分け方、動かなくなったときの確認手順、ジャンプスタートの注意点、年末年始やお盆など長期休暇前の管理方法、交換を考える目安まで解説します。
最初に外観を確認してください
バッテリーの膨らみ、液漏れ、異常な発熱、焦げたにおい、ケーブルの焼けや損傷がある場合は、始動や充電を試さず点検を依頼してください。
まず車両タイプを確認する
「バッテリー上がり」という言葉は同じでも、対象となるバッテリーと復旧方法は異なります。
| 車両タイプ | 対象となるバッテリー | 主な対処 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| エンジン式 ディーゼル・ガソリン・LPG |
始動用バッテリー 12Vまたは24Vなど |
充電、または取扱説明書で認められたジャンプスタート | 車両側と救援側の電圧を必ず合わせる |
| 電動式 カウンター・リーチ・ウォーキーなど |
駆動用バッテリー 24V・48V・80Vなど |
指定充電器とコネクター、エラー表示を確認 | 自動車用ケーブルでジャンプスタートしない |
エンジン式フォークリフトのバッテリー上がり
バッテリー上がりか確認する
- メーターやライトが点かず、スターターも回らない
- キーを回すと「カチッ」と音がするだけで始動しない
- スターターの回転が普段より明らかに弱い
このような症状は、充電不足や端子の接触不良で起こります。スターターが普段どおり回るのにエンジンがかからない場合は、燃料系統など別の原因も考えられます。
12Vか24Vかを確認する
エンジン式フォークリフトには12V仕様と24V仕様があり、12Vバッテリー2個を直列につないだ24V車もあります。ただし構成は車種によって異なるため、車両の大きさやバッテリーの個数だけでは判断できません。
確認する場所
バッテリー本体の電圧表示、車両の銘板、取扱説明書を確認します。12Vバッテリーが2個ある場合は、直列接続か並列接続かも確認してください。分からない場合は接続しません。
12Vの救援車やジャンプスターターを24V車へ接続することはできません。電圧が合わない接続は、バッテリーや車両の電装品を損傷させるおそれがあります。
ジャンプスタート前の確認
- その車両の取扱説明書でジャンプスタートが認められている
- 車両側と救援側の電圧が一致している
- プラスとマイナスの極性を確認できる
- 専用のジャンプ端子やコネクターを備えた車両では、指定された接続方法を確認している
- バッテリーに膨らみ、液漏れ、凍結、割れがない
- 車両の電源とライト類を切り、換気できる場所で作業する
ブースターケーブルの基本的な接続順
次は、バッテリー端子へ接続する方式が取扱説明書で認められている車両の一般例です。専用のジャンプ端子やコネクターを備えた車両では、この手順ではなく車両指定の接続方法に従ってください。
- 上がった車両のプラス端子赤いケーブルを、上がった車両の指定されたプラス端子へ接続します。
- 救援側のプラス端子赤いケーブルの反対側を、同じ電圧の救援側プラス端子へ接続します。
- 救援側のマイナス端子黒いケーブルを、救援側のマイナス端子へ接続します。
- 上がった車両の指定アース位置黒いケーブルの反対側を、バッテリーから離れたエンジンブロックなど、取扱説明書で指定された金属部へ接続します。
接続後の始動方法は車両の取扱説明書に従います。外すときは4→3→2→1の逆順です。24V車で12Vバッテリーを2個直列接続している場合は、2個の間をつなぐ中間端子へ接続せず、車両で指定された24Vの接続位置を使用します。
接続位置が確認できない場合は作業しません
車種によって端子位置や始動手順が異なります。取扱説明書がない、指定アース位置が分からない、ケーブル容量が足りない場合は、充電または整備事業者による復旧を選んでください。
エンジンがかかった後
ジャンプスタートは応急処置です。数分間のアイドリングだけでは十分に充電できないことがあるため、適合する充電器で補充電し、バッテリーの状態と車両の充電系統を点検します。数日で再び上がる場合は、バッテリーの劣化、充電装置の不具合、待機電流などを調べる必要があります。
電動フォークリフトのバッテリー上がり
駆動用バッテリーはジャンプスタートしません
電動フォークリフトの駆動用バッテリーへ、自動車用のブースターケーブルや指定外の外部電源を接続しないでください。車両や電装品の損傷、短絡、発熱につながるおそれがあります。
充電器まわりを順番に確認する
- 充電プラグと主コネクターが奥まで差し込まれているか
- 充電器に電源が入り、電源側のブレーカーが落ちていないか
- 車両と充電器にエラーコードが表示されていないか
- 端子やコネクターに緩み、腐食、焼け、損傷がないか
- 開放型鉛バッテリーの液面が極板より下まで減っていないか
深い過放電では充電器が動かないことがある
長期間放置して電圧が下がり過ぎると、充電器の保護機能により充電を開始しないことがあります。接続と電源に問題がなく、通常充電を受け付けない場合は、指定外の充電器や外部電源を使わず点検を依頼してください。
均等充電は何のために行うのか
均等充電は、開放型鉛バッテリーのセルごとに生じた比重や電圧のばらつきを整えるための充電です。過放電したバッテリーを強制的に復旧する操作ではありません。実施間隔はバッテリー、充電器、稼働条件で異なるため、取扱説明書に記載された頻度で行います。
補水は原則として充電後に行う
開放型鉛バッテリーは、通常の充電を完了してから液面を確認し、指定された高さまで精製水を補給します。充電前から極板が露出している場合は、極板を覆う最低限だけ補水し、充電後に再調整します。入れ過ぎると充電中に液があふれます。
リチウムイオンバッテリーの場合
リチウムイオンバッテリーには補水も均等充電も行いません。車両に指定された専用充電器を使用します。エラーで充電できない場合は、表示内容を写真やメモで残して販売店や整備事業者へ連絡してください。
フォークリフトのバッテリーが上がる原因
充電不足での保管
鉛バッテリーを放電した状態で長く置くと、サルフェーションが進み、充電を受け付けにくくなります。
電装品の切り忘れ
エンジン式では、作業灯、ライト、アクセサリー電源の切り忘れが休業中の放電につながります。
端子やコネクターの不良
緩み、腐食、汚れ、損傷があると、充電や給電が正常に行われません。
補水不足
開放型鉛バッテリーでは、液面低下により極板が露出すると劣化が進みます。
低温と高温
冬は始動用バッテリーの出力が低下しやすく、高温環境では自己放電と劣化が進みます。
バッテリーや充電系統の劣化
バッテリー本体だけでなく、エンジン式の充電装置や電動式の充電器に原因がある場合もあります。
年末年始・お盆など長期休暇前の管理方法
休業前に確認すること
- 作業灯、ライト、アクセサリー電源をすべて切る
- 端子、ケーブル、コネクターの緩みや損傷を確認する
- エンジン式は始動用バッテリーの充電状態を確認する
- 電動式の鉛バッテリーは通常充電を完了し、充電後に液面を確認する
- リチウムイオンは取扱説明書で指定された保管時の残量にする
- 雨水、直射日光、極端な高温・低温を避けて保管する
- 休業前の充電結果と異常の有無を記録する
- 長期間休業の場合、エンジン式はマイナス端子、バッテリー駆動式はコネクターを外しておく。
長期保管中も定期的にエンジンをかける理由
エンジン式フォークリフトを長期間使わないときは、休業前に始動用バッテリーを十分に充電し、作業灯やライトなどの電装品をすべて切っておきます。端子の緩みや腐食、液漏れ、膨らみがないかも確認してください。
長期間動かさない間も、始動用バッテリーは自然放電や車両の待機電流によって少しずつ電力を失います。また、エンジンを動かさない状態が続くと、エンジン内部にオイルを循環させる機会がなくなります。定期的にエンジンを始動し、指定された時間運転するのは、始動用バッテリーの電力低下を抑えるとともに、エンジンオイルを循環させて内部の潤滑を保ち、再稼働時にエンジンがかからない事態を防ぐためです。
長期保管中も、最低でも月1~2回は実際にエンジンを始動します。屋外または排気ガスがこもらない十分に換気された場所で行い、数分間のアイドリングだけで終わらせず、取扱説明書に記載された運転時間と手順に従ってください。短時間で止めると、始動時に使った電力を十分に補えないことがあります。
エンジンをかける際に、始動用バッテリーの充電状態、端子の緩みや腐食、液漏れや膨らみも確認します。冬季の屋外保管や、最近始動が弱い車両は月2回を目安に始動し、必要に応じて補充電や点検を行ってください。
エンジン式フォークリフトの長期保管中の管理ポイント
- 休業前
- 始動用バッテリーを充電し、端子・外観・電装品の切り忘れを確認する
- 保管中
- 最低でも月1~2回、実際にエンジンを始動し、指定された時間と手順で運転する
- 再稼働前
- 端子と液面を確認し、始動が弱い場合は何度も始動操作を繰り返さない
- 冬季
- 屋外保管や始動が弱い車両は、月2回を目安にエンジンを始動する
※メーカーによっては週1回など、より短い定期始動の間隔を指定している場合があります。取扱説明書の保管手順を優先してください。
始動用バッテリーのマイナス端子を外すかどうかは車両によって異なります。端子を外すと時計や車両設定がリセットされる場合もあるため、取扱説明書の保管手順を確認してから行ってください。
バッテリーの寿命を長くする方法
- 放電したまま放置しない:鉛バッテリーは深い放電状態が続くと劣化しやすくなります。
- 適合する充電器を使う:電圧や充電方式が合わない充電器は使用しません。
- 鉛バッテリーは充電後に補水する:精製水を指定液面まで補給し、入れ過ぎを避けます。
- 端子とコネクターを清潔に保つ:腐食、緩み、焼けを早めに見つけます。
- 高温を避ける:直射日光や熱のこもる場所での充電・保管を避けます。
- 繰り返す不具合を放置しない:何度も上がる場合は、バッテリーだけでなく車両側と充電器も点検します。
駆動用鉛バッテリーは、製品資料で約1,500サイクルとされる例があります。ただし、これはすべてのバッテリーに共通する保証値ではありません。放電の深さ、補水、温度、充電方法によって実際の寿命は大きく変わるため、稼働時間の低下やセルごとの状態も含めて判断します。
復旧しない場合は交換か車両入れ替えか
次の症状がある場合は、充電を繰り返すより、点検と見積もりを依頼した方が確実です。
- 充電しても数日で再び上がる
- 満充電でも稼働時間が以前より大幅に短い
- 通常充電を受け付けない、またはエラーが繰り返し出る
- 膨らみ、液漏れ、異常発熱、端子やケーブルの焼けがある
駆動用バッテリーの交換費用は、電圧、容量、バッテリーの種類、車種によって大きく異なり、数十万円から100万円を超える場合があります。車両の年式や整備状態によっては、バッテリーを交換するより、状態の良い中古車両へ入れ替えた方が総額を抑えられることもあります。
当社では、中古バッテリーフォークリフトを取り扱っており、商品ページには車両の年式や稼働時間、充電器の有無など、確認できた情報を掲載しています。バッテリーの製造年や状態が掲載されていない場合は、車両ごとにお問い合わせください。バッテリーが上がって動かない車両の買取・下取りや、復旧・入れ替えまでのレンタルについてもご相談いただけます。「充電しても動かない」という段階でお電話いただければ、車両の状態を伺い、確認できる対応をご案内します。
よくある質問
12Vか24Vかはバッテリーの個数で分かりますか?
12Vバッテリー1個なら12V、12Vバッテリー2個の直列接続なら24Vですが、並列接続や別構成もあります。個数だけで決めず、バッテリー表示、配線、車両の銘板、取扱説明書を確認してください。
電動フォークリフトをジャンプスタートできますか?
駆動用バッテリーには行いません。指定充電器、主コネクター、電源、エラー表示を確認し、充電できない場合は点検を依頼してください。
冬はどのくらいの頻度でエンジンをかけますか?
長期保管中も最低でも月1~2回は実際にエンジンを始動します。冬季の屋外保管や、最近始動が弱い車両は月2回を目安にしてください。始動時には充電状態、端子、外観も確認し、取扱説明書により短い定期始動の間隔が指定されている場合は、その手順を優先します。
鉛バッテリーの補水は充電前ですか、充電後ですか?
原則として充電後です。充電前から極板が露出している場合だけ、極板を覆う最低限を補水し、充電後に指定液面へ調整します。
BATTERY / VEHICLE SUPPORT
充電しても動かない場合はご相談ください
メーカー・型式、バッテリーの種類、最後に使用した日、充電器の表示が分かると確認がスムーズです。車両の入れ替えやレンタルを含めてご案内します。




